亀丸です。

誰の需要があるのかよくわからない、戦国武将と易卦シリーズです。

戦国武将の多くは易占ができる者をブレーンにしていましたが、そのなかでも特に武田信玄はどっぷり易占にハマっていた武将です。


武田信玄は易占を愛していた!

信玄は、易占をこよなく愛していました。

易者養成学校・足利学校の出身者を集め、易占ブレーン集団をつくり、自らも易の四聖(伏羲、周の文王、周公旦、孔子)の像を祀り、その前で自分自身で卦を立てていたと伝わります。

武田信玄は信念の人です。
迷いがあるから占いに頼っていたわけではありません。
むしろ、自分がこうだと決めたことが先にあって、その信念を強化するために占いを利用していました。


信濃国には邪魔者がいない

武田信玄の本国は甲斐国(山梨県)です。
強力なリーダーシップを発揮して無類の戦闘集団をつくりあげた信玄は、隣の信濃国(長野県)に侵攻していきました。
信濃国にはこれという強い武将がおらず、侵略するに狙い目の場所でした。

1558年、信濃の大部分を手に入れた信玄は、その支配がうまくいくかどうかを占っています。
その時に得たのが、「地風升」の三爻でした。

易経の文言には「虚邑(誰もいない村)に升(のぼ)る。疑わしきところなし」と書かれています。

「誰もいない邑(村)」と言われるとなんだか不気味であまり良くないように聞こえるかもしれませんが、易占の基本の解釈としては「邪魔者がいないので吉」とされます。地風升という卦自体は大吉卦なので、信玄はこの結果に大変気を良くしました。


実際、信濃のなかに信玄に逆らえる者はおらず、信玄が亡くなるまで信濃は信玄の支配下にありました。
占い通りにとてもうまくいったのです。


続いて、信濃の次のターゲットに定めた越後国(新潟県)への侵攻がうまくいくかどうかを占っています。そこで出たのが「坤為地」という卦でした。


越後国との戦いは「坤為地」

この「坤為地」をどう解釈するかが悩ましいところです。

「坤為地」を吉とするか凶とするかは、ケースバイケースです。易者のセンスに問われるところが大きいです。
坤為地は意味の広い卦で、吉でも凶でも訳すことができます。亀丸はプロの易者として8年やっていますが、それでも易経の坤為地を読み返すたびに、ああ、そうかと発見があります。
坤為地をうまく訳せるようになれば一流だと言ってもよいぐらいです。

武田信玄と易占のコピー



信玄は中国古典に精通している人です。
京都から当代の一流の学識僧を呼び寄せて、対等に話ができるほどの教養の持ち主でした。
当然、易経の言葉も頭に全部入っていたはずです。

信玄は易経の坤為地から、卦辞(冒頭の文章)にある「先ずれば迷い、後れれば主を得る」という文言を思い出しました。

この文言をそのまま訳せば「相手より先に動いたら迷いに陥り、相手より後れて動いたら利を得られる」ということになります。

「ふむ。自分からは手出しをせずに、相手から攻めてくるのを待てばよい、ということだな」

そう解釈しました。

越後国には上杉謙信という武将がいました。
「戦上手」として知られ、すでに信玄は何度か交戦してその手ごわさを肌で感じていました。
でも、信玄は自信がありました。先走り過ぎなければ、必ず勝てることができると信じていました。軍勢を越後国への国境付近へ移動させ、上杉謙信が仕掛けてくるのをじっくり待つことにしました。




ここまで書いてきたことは歴史資料に本当に書かれていることです。
長野県の戸隠神社に信玄が奉納した願文に残されている話で、信玄が何を占い、何の卦が出て、どう解釈したかが上記の通り書かれています。

(※興味のある方は、読みやすい本ではないですが、参考資料:菅原正子『占いと中世人』講談社現代新書をお読みください。)


大学の先生はそんなところに意識されないかもしれませんが、信玄の坤為地の解釈は、易者の感覚で読むと違和感があります。
信玄は大事なところにあえて目を背けています。

後編は私の想像を入れながら、坤為地の意味、信玄の心理、易占いの不思議についてさらに考えていこうと思います。

後編に続く。
http://kamemaru.net/takedashingen02.html




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