亀丸です。

易占い本レビューです。

今回紹介する本は、昭和に出版された本です。
1953年生まれの銭天牛先生が1986年に書かれた『すぐに役立つ 銭流「易経」』という本です。

本の内容を一言でいうと、「昭和のオジサンによる、ひょうきん易占い解説本」です。



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ルポライターから占い師に

銭天牛先生は早稲田大学卒業後、小説家を目指したり、週刊誌のルポライターなどをやったりしていましたが、占い師に転職した人です。
占い業の傍ら、もともと得意だった文章書きを活かして、易や手相、占星術など多くの占い本を執筆されています。

文体は軽妙です。

気さくでひょうきんなのであろう人柄が文体に出ています。

「20年来、オンナにモテたことがないのに、あの娘はいやにオレにあいそがいい。キがあるのかもしれんなどとウヌボレると、会社の重要書類を抜かれる。立場が上であるだけに、損害は致命的。凶」

といったノリで、易占いを解説してくれます(ちなみにこれは兌為沢という卦の解説です)。

昭和のオジサンなカタカナ遣いと言い回しが、なんだか一周まわって今の時代にカッコイイ感じがしてきます。


良くも悪くも歴史のたとえが多い

良くも悪くも、という感じですが、昭和のオジサンなので歴史話をたとえに出すことが多いです。
大量に歴史上の人物の名前が出てきます。

また文学好きなのでプルーストや小林秀雄なんて名前も出てきます。
根がインテリなのでそういうことを言いたいのでしょう。
占い女子のなかにはこのへんに強い拒否反応を持つ人もいるかもしれません。

しかも、その歴史や文学のたとえが、うまく卦の説明に当てはまっていればいいんですが、そうでもないってところが、昭和のオジサンの書いた本だなと思います。

銭天牛




風地観は近藤勇!?

たとえば風地観という卦は、新撰組の近藤勇だといいます。

それは素敵なイメージ立てなのですが、しかしその説明の文章がわかりづらいのです。

風地観の解説を冒頭からそのまま引用してみます。


「大地の上を風が吹き渡っていく。地上の万物はざわざわ。そういうとき、あなたはどうするか。風と一緒にざわざわ走りまわったのでは、これがホントの風来坊。じっとして風の行く末、ざわめく天地のさまを観る。ボンヤリつっ立ってウツロなマナコをあげているのは、これはカカシ。神社でカシワ手を打ったときのような気持、心を澄まし、魂をといで、天と地の間に立つ。殺気ぐらい漂わしてよろしい。天地に"粛殺の気"をみなぎらせる。修羅八荒、比叡おろしが京の都に吹き荒れるとき、血を求めて青白く澄む一剣虎徹を腰に、ひとり立つ近藤勇──といったシーン。」


ここで改行になるのですが。

何を言っているのかさっぱりわからない……

と不安になった人、大丈夫。わからなくて普通です。
私も10回ぐらい読み返してようやくなんとなくわかってきました。

おそらく「剣に生き、剣に死んだ、近藤勇のように、心をギリギリまで追い詰めて、魂を研ぎ澄ませ!」というようなことだろうと思います。で、その魂を真剣に研ぎ澄ます感じが「風地観」という卦の神髄だと言いたいのでしょう。が、大変読みづらい文章です。

銭天牛先生の文体は講談調で、一見わかりやすそうなのですが、実はかなりわかりづらい。
どの卦の解説も何度も何度も読み返さないと内容が頭に入ってこないのです。

正直なところ、軽妙な文体に騙されているだけで、実は説明があまり上手じゃない人なんだろうと思います。


銭先生の独自易経解釈が面白い

いや。でも、私、この本、好きなんです。

この本の良さは、銭先生独自の易経解釈の面白さです。
あまりにざっくばらんな文体のために、逆に、銭先生の発想のユニークさ、知的さが埋もれてしまってるように思います。



たとえば水地比という卦の五爻にある「顕比」という言葉の解釈。

「比を顕(あきら)かにする」と読みますが、よくわからない言葉です。
どういうことでしょうか。

銭先生はこれを、「比」は「人と人が仲良くなること」という意味だという一般的な解釈をベースに(比は人と人がくっついている象形文字だから)、「顕比」とは「その仲の良さを多くの人に見せつけることだ」と解釈しました。

つまり、「顕比」とは「自分の親しい人々を公開する。そして、その人たち同士を友人にすること」だというのです。

たとえばパーティーなど開いて、みんなを招待。
自分を中心に、友情のネット・ワークを作ってゆく。
高校時代の友人と、大学時代の友人をひき合わせたり、小学校からの親友に最近知り合った弁護士を紹介したりすることだと解釈されています。

面白い。
1986年の本だと思うと、先見の明がある。
現代だったらfacebookでいっぱい人脈を広げて、その仲の良い様子を発信し続けている人は「顕比」をやっているということですよね。

易経は「顕比」は吉だとおっしゃっているので、それは良いことなのでしょう。

もちろん「顕比」をそういう意味で解釈しているのは銭先生だけで、オリジナル解釈なのですが、儒教めいた頭ガチガチな通常解釈よりも、ずっと血の通った素敵な解釈だと、私は思います。
「易経の言葉」をなんとか実生活とつなげて、占いの実践の場に活かしていこうと苦心されているのが伝わります。






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