亀丸です。

風天小蓄という卦のなかに「富以其隣(その隣をもって、富をなせ)」という言葉があります。

富以其隣 copy


簡単にいうと、隣人とともに富(お金)を増やせ、ということですが、これを「近所の人と仲良くするべし」というぐらいで訳すのはあまりに浅い。

この言葉を私は以下のようなイメージでとらえています。



新しい人に、お客さんを奪われるかもしれない不安


たとえば、キャバクラのような水商売や風俗店で働くお姉さん方、または占い師として占い会社に所属しているお姉さん方から、こういうご相談をよく受けます。

「お店にどんどん新しい子が入ってきます。人気を奪われそうで……。私はこの店でやっていけるのか、すごく不安になります。大丈夫でしょうか」

その気持ちは痛いほどわかります。
私も占い師として、同様の不安を日々感じて生きています。

自分自身を商品にして商売をしている個人事業主は、皆さん同様の不安を抱えているはずです。
タレントさんや芸人さん、政治家さん、マッサージ師さんも、同じでしょう。

もちろん会社員だって、自分が担当している商品が売れないと落ち込むのですが、自分自身が売り物の商売だと逃げ場がどこにもない感じがします。

自分の所属している場所に次々と新人が入ってきて、人気になっていくと不安になります。嫉妬もします。自分が常にだれかと天秤にかけられている状態が苦しい。うまくいっていないときだと、なんだか自分の物を奪われたような苛立ちがこみ上げてきます。
私も占いか何かにすがりつきたくなります。

でも、心配しすぎないで。

むしろあなたの周囲のライバルたちが人気になればなるほど、実はあなたもその恩恵を得られる可能性は高いのです。

モールビジネス理論03


モールビジネス理論


マーケティング理論のような説明をしてみましょう。
マーケティングってのは「大人の占い」みたいなものなので、占い師がマーケティング理論のようなことを言い出しても変ではないはずです。

モールビジネス理論01


自分のお店の周囲に、自分と同業種の競合店(ライバル店)が出てくると、焦りますよね。

たとえば自分がラーメン屋さんだと、想像してください。
そこに、近くに別のラーメン屋さんができたとする。
お客さんを奪われて、売上が大幅に減ってしまうんじゃないかと、不安になりますよね。

でも現実的には、競合店ができたとしても、自分のお店がちゃんとしていれば、大きくマイナスにならないものです。
もちろん最初は客足が減りますが、次第に持ち直していくことが多いのです。

というのも、近くに同業種の競合店ができることはプラス面も大きいからです

「あのエリアはおいしいラーメン屋さんが多い」
というイメージができあがると、そのエリアでラーメンを食べる人の割合はぐっと増えてきます。お客さんの全体数が増加するのです。

繁盛しているライバル店が周辺にできることはけして悪いことでばかりではありません。相乗効果でプラスに働くのです。



たとえば、東京の秋葉原や大阪の日本橋。
オタクグッズを扱う同業種の店が狭いエリアにひしめいてます。
しかし、店同士は潰し合いません。
それよりもみんなで「秋葉原はオタクの町」というイメージを打ち出したほうが結果として得をするのです。
普通の町の駅前にオタクグッズの店を一件だけポツンと出すよりも、秋葉原で出したほうが周囲に競合店は多くても、結果的に儲かるのです。


モールビジネス理論02


服を売っている店なんか、最初から同業種の店舗が揃って店を出しますよね。
キューズモールやイオンモール、ららぽーとのような、飲食店やアパレル店が揃っているところは集客力があります。
「あそこに行けば、いろんな服のなかから選べる」と思うからお客さんが来るわけです。
どこかの街角にポツンと建っている服屋さんの何倍も人を集められます。

医院なんかもそう。
最近は何件かの医院が集まって「医療モール」という形で運営しているところが増えました。
「あのエリアに行けば、内科やら耳鼻科やら眼科やら何やら、病院がいっぱいある」と思わせたほうが、結果として患者さんが増えるのです。

これが「モールビジネス理論」

AKB48なんかもそうですよね。
グループ全体で数えきれないほどのライバルの女子がいるのですが、一人のアイドルとしてやっているよりも、AKBの一員だからということで世間におぼえてもらっている子のほうが多いのです。

だから、同業種の新人が活躍することはマイナスではなく、相乗効果でプラスに働くことがあるので、やみくもに心配しなくても大丈夫なんです。



ゆえに易経は言う。「富以其隣」と。


もちろんこれはビジネスの一つの側面をあらわした考え方に過ぎません。
実際、ライバル店の登場で急速に売れ行きが落ち込んで、ビジネスとして頓挫するケースもあります。
不安になるのは当然です。

でも、その場から出てゆく気がないのであれば、前向きに頑張るしかありません。
「近くにいるライバルたちが儲かれば儲かるほど、それは自分にとってもプラスになるはず」と考えていたほうが気が楽。
「嫉妬は心の毒」ですから、なるべく嫉妬しないで自分の出来ることをやっていくほうがいいのです。



この考え方は、現代社会だけのものではありません。
おそらく3000年前に生きた人たちも同様の不安や嫉妬を抱えていたはずだと思います。

だから易経は言うのです。
「富以其隣(その隣をもって、富をなせ)」

隣人も儲かれば自分も儲かるさと考えて、前向きに努力することが大切。それを説いた言葉だと、私は解釈しています。




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