亀丸です。

誰の需要があるのかという気がしてますが、戦国武将と易占について、コツコツと調べています。

以前、徳川家康には易占のブレーンがいたという話(『徳川家康は関ケ原の合戦前夜に易占いをした』)を書きましたが、家康だけでなく、戦国武将にはそれぞれお抱えの易占のブレーンがいて、重要な決断のポイントでは易を立てていました。

今回は、室町幕府最後の将軍・足利義昭と易占のエピソードを書いてみます。


将軍になるために誰を頼ればいいのか

足利義昭には、兄がいました。
13代将軍の義輝です。しかし1565年、この兄は家臣の謀反にあって殺害されてしまいます。

義昭は次の将軍候補になりました。が、兄を殺した家臣たちは別の将軍を押し立てて、京都でのさばっています。義昭は命の危険があるため、京都にいることができず、越前国の朝倉家に身を寄せることにしました。

「早く京都に上洛して、将軍になりたい」

と願っていましたが、義昭には手持ちの武力がありません。頼りの朝倉家も自分の家のことに精一杯で頼りになりません。何も手段がないまま、3年もの年月を過ごしていました。

そこにあらわれたのが新興勢力の織田信長でした。
信長はその頃、美濃国を支配下におさめ、日の出の勢いで拡大を続けていました。信長という男ならその武力を背景に自分を将軍に押し上げてくれるかもしれない──
足利義昭とその家臣たちは信長のもとに身を寄せることを考えはじめました。

しかし、戦国時代ですから、頼ったはいいものの、あっさり裏切られるかもしれません。
決断は慎重にしなければいけません。

そこで、易者に占わせてみることにしました。
易の大家・一栢老人の門弟の大華(たいか)という易者を呼び寄せました。


信長地沢臨五爻


大華が得た卦は、地沢臨の五爻でした。

地沢臨は、希望や旅立ちを意味する卦で、基本的に大吉卦です。
しかも、その五爻には「大君(たいくん)の宜(よろ)しなり」と書かれています。
君主(将軍)になるべき自分にとって何か良いことが起こりそうな感じです。

その結果に気をよくした足利義昭は、織田信長のもとへ身を寄せることにしました。


信長の力によって将軍になる

信長は足利義昭を快く受け入れてくれました。
信長にとっても、将軍の庇護者であるという立場は、これから自分が天下をとるにあたって、いろいろメリットがあったのです。実際、信長は義昭を押し立てることによって、中央政界から注目される存在になったのです。

1568年、信長は義昭を掲げて、京都に上洛。反義昭派を京都から追放し、義昭を朝廷から15代将軍に任命させました。
義昭は、地沢臨の五爻の示した通りの結果を手にしたのです。

しかし、信長と義昭の蜜月関係は長くは続きませんでした。

そもそも信長は古い権威など認めていません。自分にとって都合がよかったから協力しただけです。
逆に、義昭のほうはせっかく将軍になったのだから、自分の手で政治を行いたかったのです。自分の言うことをきかない信長は邪魔な存在になりました。

二人の仲はすぐに険悪になり、争いの結果、将軍になって5年後の1573年、義昭は京都から追放されます。室町幕府はここに実質的な終わりを迎えたのでした。


地沢臨は、信長の運の強さが引き寄せた?

占い師として、地沢臨がどこまでのことを意味していたのだろうと考えます。

義昭にとって、信長のもとに身を寄せたことは吉だったのか、凶だったのか、何とも言えないところです。
どちらにしろ室町幕府は滅んだのでしょうし、とりあえず5年の間は将軍になれたのだから、十分に占いが当たっていたともいえるし、すぐに二人は仲たがいしてしまったのですから占いがそれほど当たってなかったともいえます。

義昭にとって本当に吉だったのかどうかはわかりません。

でも、信長にとっては義昭があの段階で自分を頼ってきてくれたことは吉なことでした。
天下取りのスピードアップができたのは、あの段階で義昭の庇護者になったからです。義昭の庇護者ということで信長の格は一気に上がり、多くの人が次の天下における重要人物だと認識したのです。
そう、「大君の宜しなり」とは、義昭にとって宜しというより、信長にとって宜しだったのです。


人間の運というものは、いろんな人の運が交差してできあがるもの。一人だけの運などありえません。
あの時、地沢臨の卦が出たのは、義昭自身の運のどうこうではなく、織田信長という人の運の強さが引き寄せたものだったんじゃないか、という気がするのです。






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